
今回の記事では、
知らずに使うと危険!ベビーの保湿剤で湿疹が治らないわけとは?
『乳児湿疹』の基礎から詳しく説明していきます。
こんなお悩みを持つママに伝えたい!
✔️湿疹の受診の目安が知りたい
✔️そもそも乳児湿疹って何?
✔️保湿剤の選び方が知りたい
✔️保湿のタイミングや使い方がわからない
✔️アレルギーの防ぎ方
✔️湿疹ができた際ステロイド剤を使わない治療はある?
産まれてすぐ湿疹がどんどん増えてきた…
保湿してるのになんで?
ママやパパがアトピーだから、もしかしてこの子も…?
なんて心配になることありますよね。
でも実は、
湿疹のできやすさは赤ちゃんにとっては普通のこと。
かと言って
放置してしまうと湿疹は悪化につながります。
じゃあ、どうやってケアすればいいの?と
悩むママ・パパも多いと思いますので
今回そんなママ・パパさんへ
赤ちゃんに保湿ケアをする理由や方法、赤ちゃんの保湿剤の選び方と使い方のポイントや注意点などを紹介します!
専門家ライター
なつか|現役助産師であり、1児の母。
「穏やかママを叶える」0〜1歳の子育てサポーター。
『ママの笑顔』を第一優先に、0歳育児の悩みを一緒に解決しています。
専門的な知識と経験をもとに、ママの肩の力がフッと抜ける情報をお届けします。
赤ちゃんに保湿は必要?
まず前提として、赤ちゃんへの保湿ケアの必要性からお話ししていきます。
生まれたばかりの赤ちゃんの肌はうるおっているように見えます。
しかし、皮膚の厚さは大人の半分しかなく、肌のバリア機能も未熟な状態です。
肌のバリア機能が低下すると肌に水分を保てず、乾燥を引き起こします。
肌トラブルを予防する基本は、しっかりと保湿をして肌のバリア機能を高めてあげること。
肌が乾燥すると、外からの刺激を受けやすくなります。
また、肌が乾燥していると、かゆみを感知する神経が皮膚表面に伸びてきて、かゆみを誘発します。そのため、赤ちゃんが肌をかき、肌を傷つけることにもつながります。
そして、乾燥や汗の刺激のほか、アレルギーの原因物質であるアレルゲンが肌のすき間から入り込むリスクも高まるのです。
生まれたばかりだからこそ、しっかりとスキンケアをして、健康な肌を維持してあげましょう。

乳児湿疹とは?
赤ちゃんの肌は、みずみずしく、すべすべしているイメージですが、母乳やミルクを飲んでいる乳児の顔や頭を中心に、赤いプツプツ・カサカサの湿疹などの湿疹が現れることがよくあります。
新生児期から乳児期にかけて現れるこれらの湿疹は、「乳児湿疹」と呼びます。
乳児湿疹の症状は、比較的広い範囲に出ることもあり、
「このまま治らないのでは?」と心配するママ・パパは多いと思います。
しかし、乳児湿疹の多くは一過性なもので、清潔に保っていれば、成長とともに自然に治ります。
ここからは、赤ちゃんによくある皮膚トラブルと、正しい対処法について解説します。
赤ちゃんによくある皮膚トラブル
乳児湿疹は、食べ物や繊維の刺激に触れやすい、口の周り・顎の周りを中心とした顔面をはじめ、皮脂の分泌が盛んな頭部、蒸れて汗がたまりやすい首回り、手首、足首などにも現れます。
乳児湿疹でみられる主な皮膚トラブルには、次のようなものがあります。
🔶新生児中毒性紅斑(しんせいじちゅうどくせいこうはん)
生後数日間に、胸や背中などに赤い斑点やブツブツ、小さな水ぶくれなどができる新生児特有の皮膚トラブルです。
新生児中毒性紅斑の原因は不明ですが、お腹の中の環境からお腹の外の環境への急激な変化に適応する過程で起きる、生理的な変化だと考えられています。
2週間ほどで治るのが特徴です。
🔶乳児脂漏性湿疹(にゅうじしろうせいしっしん)、新生児脂漏性湿疹(しんせいじしろうせいしっしん)など
生後2~4 週以降の赤ちゃんに多い皮膚トラブルの1つです。
皮脂の分泌が盛んな頭、顔などに、黄みがかったかさぶたができて、湿り気のあるフケがたくさん出ます。
乳児脂漏性湿疹は、よく洗って清潔に保つことで、生後8~12 か月ごろまでには自然に治ります。
基本的には積極的な治療はいりませんが、症状が長引いている場合は病院で処方してもらい、塗り薬による治療をお勧めします。
🔶アトピー性皮膚炎
乳児脂漏性皮膚炎と似ているため、乳児脂漏性皮膚炎と区別することは難しいです。
ブツブツなどの皮膚症状が2か月以上繰り返しできるかどうかなどを医師が経過を見ながら、低い月齢でも、これはアトピー性皮膚炎です!と診断する医師もいてますが、
「まだ診断できないよ」
と言われることも多く、乳児湿疹の再発を繰り返すことで、アトピー性皮膚炎へ移行するといったものになります。

乳児湿疹で病院に行く目安
乳児湿疹の多くは、積極的な治療をしなくても、清潔さえ保てば、成長とともに自然に治ることが多いです。
ただし、乳児湿疹がどんどん広がっていく、
また、症状が何度も再発、または長引いているといった場合は、
アトピー性皮膚炎に移行しないよう、まずははやめに病院を受診しましょう。
小児科や皮膚科では、赤ちゃんの皮膚トラブルの症状をみて、適切なケア方法や治療を教えてくれます。
皮膚に炎症が出ている場合は、医師の判断でステロイド剤やその他の塗り薬などが処方されることがあります。
ステロイド剤は使っていいの?
病院でステロイドの薬を出してもらったけど、使うのが怖い…。
本当に使っていいの?と心配になるママ・パパの声も聞くので、ステロイド薬についてもお話しますね。
ステロイド薬とは?
ステロイド薬は、炎症をおさえる薬です。
湿疹や痒み、赤みに対してよく使われます。
ステロイド薬が良くない!って言われる理由は、
正しく使わないと副作用のリスクあるということです。
🔶どんな副作用?
✔️赤みが出る
✔️肌の乾燥
✔️口周囲皮膚炎 等があります。
ですが、医師の指示通り、決まられた期間・用法を守れば安心して使えるものです!
🔶実は体でも作られている
ホルモンが持つ作用を薬として応用したのがステロイドであり、実は人の体の中で作られるいるホルモンなんです。
🔶よくある勘違い
✔️黒くなったり色素沈着しない?
→自己中断や長期間の放置で起こりやすいです。
✔️1度使うとクセになる?
→依存性や蓄積はしません。
✔️ステロイドは怖い薬?
→適切に使えば、副作用なく安心して使える薬です。
🔶保湿剤との順番は?
先に保湿剤、後からステロイド!ですが、基本は一緒に処方されることが多いです。
家にある保湿剤を使用する場合は、保湿剤はたっぷり満遍なく。
ステロイドは、ピンポイントで使ってくださいね。
上記のように、ステロイド薬は決して珍しいものではありません。
副作用のリスクよりも、今、症状を抑えたほうがいいと医師が判断したときに 処方してくれます。
でも、どうしても、
ステロイドを使わずに湿疹の治療したい…となると、
ステロイドではない薬もあったり、
薬以外では、清潔+保湿を保ってあげることが大切になります。

皮膚トラブルの予防~正しいスキンケア方法~
皮膚トラブルの予防には、清潔+保湿が必要になります。
赤ちゃんの皮膚は乾燥しやすくてデリケートなため、清潔に保ち、保湿をして皮膚へのストレスを減らす工夫をしましょう。
そして、乳児湿疹等の皮膚トラブルを予防したり、症状を改善させたりするためには、正しいスキンケアを知る必要があります。
ここで、よくある質問を紹介します。
【毎日お風呂に入ってから保湿クリームも塗っているのに湿疹が治りません】
【有名、又は、人気の保湿剤を使ってるけどよくなりません】
最近は皮膚トラブルの悩みが多い。
今の時代、昔よりもいろいろな保湿剤があるはずなのに昔よりも肌悩みが多い。
ということは、
ポイントは『保湿剤』であることがわかります。
後でまた詳しく説明しますが、保湿剤にはいろいろなものが含まれています。
保湿剤を縫って満足するママ・パパさんは多いのですが、
実はそこじゃないんです。
いかにその前に皮膚を清潔にできているかが大切なんです。
お風呂に入ったかもしれない。
ですが、入院中や産後ケアに来る赤ちゃんを見ているとちゃんと前回塗った保湿剤を洗い流せてないことが多いです。
ゴシゴシ洗いなさいと言っているわけではありませんが、
サラリと洗い流すだけになっていませんか?
しっかり、泡で満遍なく洗えています か?
さらに、朝の保湿をするご家庭もありますが、
朝起きてすぐ塗っていないですか?
私たち大人でも朝起きたら、顔を洗いますよね。
赤ちゃんも一緒です。
顔を洗うか、せめて顔をお湯で濡らしたタオル等で拭いてあげましょう。
前回の保湿剤が残っていると、どんどん保湿剤の上に保湿剤を塗り重ねることになり、皮膚呼吸が出来なくなり、皮膚トラブルは悪化します。
なので、お肌のケアで大切なのは、
保湿剤の前には、しっかり『清潔』にすることです。
そして、清潔+保湿のタイミングとしては、湿疹の様子を見て決めていきましょう。
基本は、皮脂が洗い流されて乾燥しやすいお風呂の後ですが、湿疹が多いならば、朝・晩と、少なくとも2回はしてあげられるといいですね。
その他のタイミングとしては、外部刺激を受けやすいので、外出前後もおすすめです。
失敗しない保湿剤の選び方・注意点
ベビーローションやベビークリームは、
赤ちゃんの敏感な肌をしっかりと保湿してくれる保湿剤です。
ここからは、保湿剤の種類と特徴、選び方のポイントなどをご紹介します。
🔶赤ちゃん用保湿剤の種類
赤ちゃん用保湿剤は、3つの種類に分類できます。
✔️ベビーローション:
化粧水や乳液に近く、水分量が豊富です。
また、サラサラした使用感で少量でも伸びが良く、薄く広げやすいのが特徴です。
夏場や広範囲に使いたいときにおすすめです。
✔️ベビークリーム:
油分などの保湿成分が高く、乾燥が気になる部分だけに使用しても、
全身に塗っても良いですね。
水分と油分がバランス良く配合されているので、
うるおいを与えつつ、ローションよりも保湿力があるので肌を保護できる点が特徴です。
冬場や乾燥が気になる時に適しています。
✔️ベビーオイル:
油分は肌にフタをして、肌表面の水分を逃がしにくくしてくれるので、肌を保護することができます。
ベビーマッサージなどに適しています。
どのタイプを選ぶかは、赤ちゃんのお肌の状態や使いたい場面によって、ママ・パパの好みで選んでいいです。
また、全身の保湿にはベビーローション、特に乾燥が気になるところにはベビークリームという感じで、使い分けるのもおすすめです。
🔶保湿剤選びに迷ったら
低刺激のものや無添加、無着色、無香料のベビー用を選ぶのがおすすめです。
赤ちゃんの肌は大人よりも敏感ですので、保湿効果だけでなく赤ちゃんの肌への負担も考えられているものだと安心ですね。
保湿剤使用前に知っておくべきこと
ベビー用で売られている保湿剤を買ったら、
『赤ちゃん用だから安心』と考えているママ・パパは多いです。
ですが、実は赤ちゃん用に作られている保湿剤でも、使用するにあたり、知っておいてほしいことがあります。
赤ちゃん用の保湿剤のほとんどには、石油系の合成成分が含まれています。
石油系のものが含まれている保湿剤のメリット・デメリットは、皮膚の保護にはなりますが、皮膚に浸透はしません。
含まれてないものはどれ?と言われると、ほんと数が絞られるぐらいに、有名な保湿剤でも含まれています。
実は、保湿剤の成分表記は、裏の成分表記には嘘は書けませんが、表は何を書いてもいいんです。
よくあるフレーズとしては
✔️敏感肌の新生児からでも使える
✔️100%天然由来成分
✔️肌へのやさしさにこだわりました
✔️パラベンフリー、アルコールフリー、オーガニック!
こんなこと書いてたら、
誰だって、これはお肌に優しいものなんだ!って思うんです。
確かに大きい嘘は書いてないですし、もちろんベビー用品に置いているので使っていいものではあります。
ですが、裏の成分を見ると、石油系のものは含まれているのです。
そのため、上で説明したように、しっかりと洗い流すことが大切になるのです。
前回の保湿剤が残っていると、どんどん保湿剤の上に保湿剤を塗り重ねることになり、皮膚呼吸が出来なくなり、皮膚トラブルにつながるのです。
でも、不安になることはありません。
私たちの周りには石油系の合成成分が含まれた商品ばかりですし石油系の合成成分が含まれていないものとなると、金額が高い商品になってしまいますので、そんな商品を使い続けるのは、そもそも厳しい話です。
ちゃんと洗い流せば問題ありませんので、神経質にならず、無添加、無着色、無香料のベビー用を選んであげてください。
アレルゲンの含まれた保湿剤は使ってもいい?
こんな質問を受けたことがあります。
【保湿剤に小麦の成分が入っている物があると聞いたのですが、それを使う事で、小麦アレルギーに繋がる心配はありますか?】
こちらについては、『YES』です。
実は肌からアレルゲンが入るのは危険なんです!
口から入るものに関しては、なるべく早く食べ始めて慣れさせた方が食物アレルギーの予防によいとする考えが標準になってきていますが、
実はアレルゲンは、口から入るより肌から入る方がよっぽどアレルギーに繋がるリスクがあります。
なので、小麦が入った保湿剤を使ってはいけないわけではないですし、もともとの体質もあり、全員がアレルギーになるわけではないですが、わざわざ小麦が入ったものを選択して使うことに関しては、推奨はできません。

まとめ
ここまで、ズラズラと、赤ちゃんに保湿ケアをする理由と方法や、赤ちゃんの保湿剤の選び方と使い方のポイントや注意点を紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
赤ちゃんの肌は「清潔」を心がけて、神経質になりすぎずに向き合ってあげることがママの負担解消にもつながるのではないでしょうか?
この記事で紹介した内容を参考にして、日々の育児の疑問が、少しでも和らいでもらえると嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。